不思議な図形 第4回

先日までの話をまとめて、今日はいよいよシェルピンスキーのギャスケットのハウスドルフ次元を計算していきます!

ハウスドルフ次元とはなんだったのかというと、

ある図形を1/Lに分けて、元の形と同じ形がN個現れたとします。

NとLに

という関係があるとき、このd_hをハウスドルフ次元と言いました。

「線」「面」「立方体」のハウスドルフ次元は、それぞれ、1,2,3となることも確認しましたね。

今日はこれを使って、シェルピンスキーのギャスケットの次元を考えてみましょう。

対数の知識を使うので、少し難しいかもしれませんが、チャレンジ!

昨日までと同じように、考えてみましょう。

まず、三角形の一辺の長さを1/2倍します。

すると、黒い三角形の数は何倍になりますか?

そう、3倍ですね。

本来なら、4倍になるはずですが、真中がくりぬかれているため、3倍にしかなりません。

これを↑の定義から考えてみます。

N=3、L=2なので、

代入するとこうなります。両辺の対数をとって、、、

これを電卓で計算すると、ハウスドルフ次元は1.58496250072≃1.58になります。

つまり、1次元よりは大きいけど、2次元よりは小さい、という予想が正しいことが確かめられました。

分数の次元、というとすごく不自然な感じがしますが、数学的にまじめに定義することによって、導くことができます。

もっと直感的に言えば、穴ぼこの開いた空間は、

2次元平面と言うには穴が開いているので、1次元の近く、でも1次元のと言う訳でもありませんね。このように、シェルピンスキーのギャスケットは平面とも直線とも言えない、中途半端な次元を持っているのです。

実は、初期宇宙ではこのように次元が中途半端になっていた可能性が指摘されています。

フラクタルは見ているだけでも綺麗で楽しいのですが、物理の研究でも注目されています。

身の回りの綺麗なものも実は背後に深い物理があるのでしょうか。そんな視点で景色を見てみるのも、面白いかもしれませんね。

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